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【今昔物語集】雌獅子の子守歌【天竺部】

「獅子、猿の子を哀れび肉を割きて鷲に与える語」(「今昔物語集」巻五・第十四) 


大手コンビニチェーンのファミリーマートが抗議を受けて新商品「フォアグラ弁当」の販売を中止した。
動物愛護団体が強い抗議を行ったようだ。

そんな騒動の中、団体が発した「動物はあなたのごはんじゃない。」というメッセージが波紋を呼んでいる。
動物を殺さないために菜食主義を信念としているのは尊いことだと思うが、このような居丈高な物言いは世間に受け入れられないだろう。

919ed9f6.jpg

畜産:動物はあなたのごはんじゃない|NPO法人アニマルライツセンター


今回はちょっと荒れそうな内容かも。
平安末期に成立したと言われる『今昔物語集』所収の天竺(インド)の説話を1編紹介したい。

昔、インドの山奥に1頭のメスの獅子がおったそうな。
彼女は大変慈悲深い性格で、生きるためには他の生き物を喰わねばならないことに苦しみつつ、
命をつなぐために必要最低限の殺生だけをして、あとは困っている動物たちの世話を焼いたりや身の上相談に乗ってあげたりしていた。

そんなある日彼女のもとに双子の子猿を連れた母猿が訪れた。
獅子が事情を聴くと、子猿たちが今より小さかった頃は2匹を抱いて餌集めをしていたが、2匹が大きくなった今それが難しくなったこと、子猿を巣に置いて餌を探しに行ったら猛鳥や猛獣にたちまち襲われるあろうことを訴えた。

獅子は「あなたがエサを探しに行っている間、私が子供たちを見守りましょう」と快く引き受けた。
母猿は涙ぐみながらお礼を言い、子猿たちを獅子に託してエサを集めに行った。

子猿たちは初めて会う獅子におびえて泣き出してしまったが、獅子が優しく子守歌を歌いだすとやがてすやすやと眠り出した。

子猿たちを背に乗せて菩提樹の木陰にたたずんでいるうちに、獅子もなんだか眠くなってしまい、そのまま寝入ってしまった。


どのくらい時間が経ったのだろう。悲鳴が聞こえて獅子は目覚める。

なんと子猿2匹は鷲に鋭い爪でわしづかみにされている。
子猿たちを物陰から狙っていた鷲が、獅子が眠ったのを見計らって襲いかかってきたのだ。

「待って!」

獅子は鷲に懇願する。
鷲が鳥たちの王であるならば、獣たちの王たる自分の話を聞いて欲しいと。

「その子たちは、母猿から託された大事な預かりものなのです!
どんな難題でも受け入れますからどうかその子たちを返してください」

鷲は子猿たちを爪で強く抑えたまま、返答する。

「私も巣に腹を空かせた子供たちを待たせているのです。もう何日も獲物にありつけておりません。
この子猿を諦めたら私も子供たちも飢え死にしてしまいます」

すると獅子はこう提案した。

「ならばその子たちの肉の分だけ、私の肉をさし上げます。なので子供たちを返してください」

「本当に??」

「ほらこの通り!」

獅子は鋭い牙でおのれのももの肉を引きちぎった。
あたりに鮮血が散った。

「お見事です」

鷲は獅子の気迫に圧倒され、子猿たちを解放した。
そして獅子のももの肉をもらい我が子の待つ巣に帰って行ったという。


壮絶な話である。
ただ単に子猿たちの命を救うのではなく、飢えた鷲の親子も救わんと自らを犠牲にしている。

我々は身近な自然の中で、厳しい弱肉強食の瞬間を目にすることが時折あるだろう。

蜘蛛の巣にかかった美しい蝶、蛇に丸のみにされる哀れな蛙。
そんな時正義感に駆られてその生き物を思わず助けてしまうこともあるだろう。

それは人間の感情として至極当然なことだ。
でも間違っている。

いいことをしたつもりになっているのかも知れないが、獲物を仕留め損なった生き物は飢えて死ぬしかないのかも知れない。

ネットの書き込みで、カラスの大群に襲われている野良の子猫を助ける話を見たことがある。
Twitterで話題となった子猫「わさび」ちゃんもそうだ。

猫は可愛い。カラスは人にもよるだろうけどあんまり可愛くない。
可愛い猫を救って、可愛くないカラスを飢えに追いやることは人情として仕方のないことかも知れない。

前述の獅子のエピソードはそんな行為にある種の示唆を与えてくれる。
他者全てを救いたいのならば自らを犠牲にする覚悟を持たねばならぬと。

もちろん自身のペットである子猫が襲われたのならば、救って当然だし何ら責められることはない。
しかし自分がその猫を拾って飼う覚悟もなく、自然界の弱肉強食の苦しみから解脱した人間が軽々しく介入してよいのだろうか?

なお、わさびちゃんのケースは、うp主は助けた子猫を家に連れ帰り最後まで面倒を見ているのでその点では称賛されて然るべきだとは思う。


「ハッピーピープル」という漫画に、今回のテーマに似た話がある。
心優しい坊さんが、生き物たちの食物連鎖に苦悩する話だ。

↓のサイトであらすじが読める。

人間だから・・・人間だからこそ・・・



〈参考資料〉

  
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テーマ : 昔話
ジャンル : 学問・文化・芸術

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