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【日本古典】竹取物語⑥【かぐや姫】

<前記事>
竹取物語①
竹取物語②
竹取物語③
竹取物語④
竹取物語⑤

いよいよ最後の挑戦者だ!


【挑戦者】
中納言 石上麻呂足(いそのかみのまろたり)

モデルとなったのは石上麻呂(640年~717年)という人物。
スサノオの子である(諸説ある)饒速日命(ニギハヤヒ)の末裔といわれる物部氏。
物部氏は大伴氏と共に朝廷の軍事部門担当(大伴氏が近衛師団や親衛隊なら物部氏は国軍)として大いに栄えたが、仏教導入を巡って蘇我氏や聖徳太子と対立、敗れて以降は没落した。

その後「石上氏」に改姓し、当時の当主麻呂は壬申の乱では負けた大友皇子側だったのだが何故か天武天皇に重用され、右大臣にまで出世した。具体的にどんな政治をしたのか分かんねーけど、麻呂が亡くなった時民衆がすごく悲しんだとか。愛されてたみたいです。

ちなみに江戸時代の学者荻生徂徠は物部氏の血筋らしい。


【依頼品】
燕(ツバメ)の子安貝

子安貝とはタカラガイという貝のことで、美しい質感から古来より珍重されてきた。
アフリカや中国ではこのタカラガイの貝殻を貨幣として用いていたことがあり、「財」や「貯」や「贈」など金銭に関係する漢字の部首に貝が使われているのはその名残りだといわれている。

また女性、繁栄、生誕、富などの象徴とされ儀式や装身具にも用いられた。
見た目が妊婦の腹のように見えること、下から見ると女性器に似ていることなどが由来である。
出産の際に産婦がタカラガイを握って安産を祈願したりした。

これまでかぐや姫の出した難問と異なり子安貝は実在する。だがしかしツバメとは何の関係もない。
燕は日本では古来より益鳥として大事にされてきた。稲作において穀物を盗み食いするのではなく害虫を食べてくれるからだ。
家にツバメが巣を作るのはめでたいこととされ、家内安全や商売繁盛の象徴とされた。
いつしかタカラガイとツバメというめでたいもの同士がくっついて「燕の子安貝」という謎のレアアイテムが人々の想像上の存在として生まれたのかも知れない。

740px-Cypraea_stolida.jpg
子安貝(宝貝)の貝殻(Wikipediaより引用)



麻呂足は家臣たちに「ツバメの巣を探せ」と命じた。
ある家臣は「ツバメをいくら殺して腹を割いても子安貝は出てきません。しかし何故か子を産む際はどこからともなく子安貝が巣に現れます。しかし人間が見ると子安貝は消えてしまいます」とアドバイスしてくれた。
またある家臣は「大炊寮(おおいづかさ、食糧を管理する役所)の柱にツバメの巣がありますよ。そのに足場を設けて巣を覗きましょう」と言った。
麻呂足はいいことを教えてくれたと喜んで、大炊寮に家臣を20人ほど派遣し、足場を組ませてツバメの巣の監視業務に従事させた。

しかしなかなか子安貝は手に入らない。
大勢の人間が巣を監視しているので警戒して卵を産まないのだ。
そこへ大炊寮の役人の倉津麻呂という爺さんが麻呂足に「よい方法を伝授します」と言ってきた。
「あんな大がかりなやり方じゃ子安貝は取れません。足場は撤去してください。
代わりに人が1人乗れる籠を巣の下に待機させて、ツバメが子を産んだときに素早く籠を引き上げて子安貝をゲットしましょう」と倉津麻呂じいさんは言う。
滑車のような装置を用いるのか、下から棒のようなもので持ち上げるのかは文献からは読み取れないがまあそんな感じで、麻呂足は大いに感心して爺さんの策は採用された。

倉津麻呂じいさんが言うにはツバメが出産する際には尾をさし上げて7回まわるらしく、その時が籠を引き上げるチャンスなのだそうだ。
巣の下で張り込みを続けて幾数日、ようやくじいさんの言うようにツバメが尾をさし上げて回っている。
そこで家臣を乗せた籠が引き上げられ、家臣は巣に手を突っ込んで探ったがそれらしきモノは無かった。

麻呂足は「あーもう!俺がやる!」と言って自ら籠に乗り、ツバメの巣に手を突っ込んだ。
すると何やら固いものを掴んだ感触が!
「何か掴んだぞ!籠をおろしてくれ」
家臣たちは慌てて縄を引いたのだが、強く引きすぎたため縄が切れてしまった。

麻呂足は籠から投げ出され、八島の鼎(やしまのかなえ)の上に墜落してしまった。
鼎とは元々は調理器具で、転じて祭事に用いられる神具だ。

800px-Liu_Ding.jpg
劉鼎 殷の末期の鼎(Wikipediaより引用)

八島とは日本神話で、イザナギとイザナミが国作りとして生んだ淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、そして本州の8つの島、すなわち日本の事。
八島の鼎とは日本国の豊穣を祈願する神具だと思われるが、その上に落ちるのだから罰当たりというか神罰が下ったというのか。

家臣たちは突然の事故に仰天して麻呂足を抱き起した。
麻呂足は「あいたた…でも子安貝見つけたぜ」と言ってその手に握っているものを確認した。
しかしそれは子安貝ではなくツバメの糞が乾燥したものだった。
麻呂足はあまりのことに「ああ…甲斐無し(貝無し)」とつぶやいて気を失ってしまった。


麻呂足は落下事故の際に腰の骨を折ったようでその後の容体が悪く寝込んだままみるみる衰弱してしまった。
それを聞いたかぐや姫は意外にも麻呂足に対して見舞いの手紙を送っている。
麻呂足はかぐや姫に優しくされて少し嬉しかったようで「甲斐が有った(貝が有った)」と言って息を引き取ったそうな。彼の死を聞いたかぐや姫はちょっぴり可哀想に思ったんだとwちょっぴりじゃねーよw
原文では「『少しあはれ』とおぼしけり」w少しじゃねえw
ジブリの映画「かぐや姫の物語」ではかなり嘆き悲しんでいたな。まあ麻呂足個人に対する憐憫というより、自分の要求で結果的に人を死なせてしまった罪悪感でだが。
また映画版では麻呂足が掴んだものは糞ではなくツバメのヒナだった。Twitterで誰かが「より業が深くなった」と言ってたっけ。


しかし考察サイトの桔梗屋旅館様もご指摘の通り、この麻呂足に課された試練は他の4人に比べて簡単そうに思える。
「燕の子安貝」は実在しないものの、適当にその辺でタカラガイ拾ってきてこれが「燕の子安貝」ですって言ってもよくね?w
そうしない辺りが人格者というかお人よしというか…
史実の石上麻呂はその死の際に民衆が哀惜したとも言われいい人っぽい。
この物語の麻呂足も部下の意見をよく聞き、部下たちもそんな主人によく尽くしている。
書かれ方も前の4人よりいいし、冷淡なかぐや姫にしては見舞いの手紙を送るなど破格の扱いである。
安産のお守り的なアイテムを所望する辺り、かぐや姫も少しは気があったのかも。
しかしその末路は最も悲惨だというところが謎が深まるなあ。


さて5人の挑戦者たちは皆、かぐや姫の試練の前に敗れ去ってしまった!
しかしこれで結婚しなくていいと安堵するかぐや姫の前にさらなる強敵が立ちはだかる!
次回乞うご期待!


〈参考資料〉
    

フリー百科事典Wikipedia

桔梗屋旅館

〈関連記事〉
【日本古典】竹取物語①【かぐや姫】

【日本古典】竹取物語②【かぐや姫】

【日本古典】竹取物語③【かぐや姫】

【日本古典】竹取物語④【かぐや姫】

【日本古典】竹取物語⑤【かぐや姫】
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【日本古典】竹取物語⑤【かぐや姫】

<前記事>
竹取物語①
竹取物語②
竹取物語③
竹取物語④


そろそろ誰かこの糞ゲーを攻略してくれ!


【挑戦者】
大納言 大伴御行(おおとものみゆき)

元ネタになった人物はそのまんま大伴御行(646年~701年)という人物。
壬申の乱では天武天皇側で活躍して勝利に導いたそうだ。

大伴氏は代々軍事を司る一門で、天忍日命(アメノオシヒノミコト)という神武天皇の東征に付き従った神様を先祖としている由緒正しい家系である。
同じく軍事氏族としては物部氏が有名で、物部氏が国軍を司るとすれば、大伴氏の職掌は天皇の身辺を警護する親衛隊のような役割だった。
軍事氏族と言うから脳筋な一族かと思えば、万葉集の編纂に関わった歌人の大伴家持なんかもいる。

ちなみに大伴氏はのちの当主の善男(よしお)が、政敵を陥れるために放火の自作自演をするものの結局ばれて島流しにされてしまっている。応天門の変と言い藤原氏の陰謀説もあって真偽は定かではない。


【依頼品】
龍の首の珠
中国の古典『荘子』には「竜頷」という言葉が紹介されていて、龍のあごには美しい珠があってそれを得るために危険を冒すことを「竜頷」と言うのだと。
またインドの竜樹(ナガールジュナ)が著した仏典『大智度論』によると、龍の頭の中には摩尼宝珠なる伝説のアイテムが隠されていて、それを手にすればどんな願いも叶うのだそうな。
また『法華経』には海竜王の娘が仏に摩尼宝珠を献上したとの記述もある。

418px-Kunisada_II_The_Dragon.jpg
歌川国貞の『釈迦八相記今様写絵』(Wikipediaより引用)


大伴御行は屋敷に集めた家来たちに龍の珠を取って来いと命じた。
家来たちが渋ると、御行は「別に天竺(インド)や唐土(中国)に行けって言ってるわけじゃないし、龍は日本にもいるだろうから楽勝だって!」と言って食糧と経費を持たせて無理やり旅立たせた。

家臣たちは仕方なく旅立ったものの「無理じゃね?アホくさくね?」と各々帰宅して引きこもったり、適当な場所に行って姿をくらましてしまった。

御行はと言うと、かぐや姫と結婚する気満々で屋敷を豪邸に改築したり、嫁さんと離婚したりして過ごした。
しかし待てども待てども龍の珠を持ち帰る家来が帰って来ないので、御行は「あいつら使えねー!!」と自ら龍退治のため出陣することにした。

船で筑紫(九州)方面に航海中の御行だが、厄介なことに嵐に巻き込まれてしまった。
当時は航海技術も未熟で、遣隋使・遣唐使船も遭難しまくったくらいで航海はかなり危険だった。

御行は龍を殺そうとしたからこの嵐は龍の祟りだと思って、必死に謝罪しまくった。
東洋の龍は雨や嵐を自在に操ると言われてるしね。

願いが通じたのか船はやっとの思いで陸地にたどり着いた。
そこは播磨国(兵庫県)の明石だった。
救助された御行の顔ははれ上がり、両目はすもものようだったそうな。グロw

御行が帰還すると姿をくらましていた家来たちもわらわらと帰ってきた。
龍退治が無理と主君もよく分かっただろうから罰を受けることもあるまいということだ。
御行は「むしろよく龍を退治しに行かずにいてくれた。もし龍を殺していたら多くの人に災いが降りかかったに違いない。かぐや姫はとんでもない極悪人ぞ」とちゃっかりかぐや姫に責任を転嫁しつつ、家来たちに褒美を取らせた。

武人らしくさっぱりした人物でまあ悪い人じゃないよねw


しかし日本にはドラゴンスレイヤー(竜殺し)居ないよね。
西洋だったら竜を退治した勇者の物語は結構多いけど、日本だったら八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治したスサノオくらいかな。
日本の場合は源頼光や渡辺綱のような鬼退治が多いね。
西洋では竜は邪悪な存在だけど東洋では神聖な存在というのが影響してるのかも。
大伴御行も成功してれば貴重な日本のドラゴンスレイヤーとしてファンタジー史に名を残せたのに残念w


  

  

〈参考資料〉
    

フリー百科事典Wikipedia

桔梗屋旅館

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